【読書】遺伝子のチカラを信じる子育て:「小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て」を読んで

読書

「子どもの才能は環境か?遺伝か?」は子育て本の永遠のテーマですよね。

近年はモンテッソーリ教育等にも代表される「○○教育」がもてはやされ、そのような本が書店にたくさん並んでいます。

その背景には、「子どもの才能を伸ばすため、限られた乳幼児期に、出来る限りのことをしてあげたい!手遅れになりたくない!」という、半ば脅迫観念にも似た親の焦りがあることもあるのではないかと思います。

かくいう我が家の長女も、モンテッソーリ教育を取り入れた保育園に通っていますし、ディズニー英語システムを購入する等、環境作りを重視した早期教育的な取り組みを行ってることは否めません。

慶應義塾大学病院小児科の高橋孝雄先生が書いた、「小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て」(マガジンハウス)は、子どもの才能を遺伝子の観点から解説し、そんな親の不安や脅迫観念を払拭してくれる本です。


「子育てに手遅れはない」

世にあるたくさんの「○○教育」本と比べ、この本が大きく異なるのは「子育てに手遅れはない」というメッセージではないでしょうか。

最近注目されている育児本の多くは、「0~3歳までが最も重要」「3歳までに脳の土台が完成する」「6歳を過ぎると身に付きにくくなる」等、乳幼児の親を焦らせる言葉のオンパレードです。

確かにそれらの主張には、脳科学の研究結果等、一定の科学的根拠があるものなので、参考にすべき点もあるのだろうなと個人的には思います。

実際、例えば言語能力に関しては、特に音を聞き分ける「耳」や発音の面で、幼少期の方が身につきやすく、一定頻度の使用により維持しやすいと経験的に感じるため、おうち英語を取り入れています。

しかしこの本では、遺伝子はあらかじめシナリオを持っている、という話を前提にしており、その振れ幅が環境によって左右される、という考え方に沿って話が進められています。

また、遺伝子によって決められた才能が開花する時期は、幼少期に限らない、ということです。

そのため、親が早くからあれこれ習い事や早期教育を施して、無理やり特定の方向に能力を仕向けようとしても、子どもが持つ遺伝子がそもそもそのような内容になっていなければ、あまり意味はありませんよ、というお話です。

子どもを注意深く観察したい

そうではなくて、この本では、遺伝子で決められた個性をそのまま開花させるような子育てをしましょう、と言っています。

子どもの人生をよりよくするには、持って生まれた才能や個性をそのまま花開かせてあげればいいだけ。情報に振り回されるのは無意味です。

「小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て」(高橋孝雄, マガジンハウス)p.57

確かに、子どもの才能や個性のベースがすでに遺伝子で決められているなら(感覚的にも正しい)、それを発見し育て、活かせるような道を見つけるお手伝ができれば、親としても満足度の高い子育てになるんじゃないかと思います。

どんな子どもでも、才能のシグナルを子ども時代に発信しているそうです。

言われてみれば私も、子どもの頃は「文章を書くこと」「絵を描くこと」「記録をつけること(データ収集)」「育てる・経営するゲーム」に没頭し、他の子よりも得意でした。

大人になってから長く続けている仕事は、少なからず上記の要素があります。仕事の中で自分が得意とする作業も、上記の要素が多目のような気がします。

そういった意味では、10代までに時間を忘れて没頭し、他の人よりも得意だった要素をもっとたくさん含んだ仕事に就く方が、今よりも上手くいくのかもしれないなー等と思うことがあります。

話は逸れましたが、そのような目で自分の子どもを見たとき、まだ2歳ですが、きっとすでに他の子どもとは違う個性が随所に現れているんだろうなーと思います。

それがいったい何なのか、見逃さないよう、これからも注意深く観察していきたいですし、何をすればもっと伸ばしてあげられるのか、子どもと一緒に探っていきたいと思いました。


お金をかけない ー 早期教育に意味なし、義務教育の質は高い?

この本では、子どもの個性や才能は遺伝子のシナリオが決めるため、「早期教育はほとんど意味がない」と指摘しています。

幼稚園のころから算数をやらせたからといって、数学者になれるかというと、そうはいきません。小学校に入学した当初に、計算問題を解くのがほかの子どもたちよりも少し得意、といった程度でしょうか。(中略)先取りの早期教育に時間をかけるぐらいなら、子どもには机上では味わえない体験をたくさんしてほしいと思いませんか。

「小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て」(高橋孝雄, マガジンハウス)p.82

私自身も、小さい子どものスケジュールをたくさんの習い事で埋め尽くすこと自体にはそこまで肯定的ではないので、先生のご指摘には共感できます。

ただ、この本にも書かれていますが、いろいろな習い事を試してみることは、子どもの個性や才能を発見するための手段としては良いのではないかと思います。

また先生は、日本の義務教育の質の高さについて認め、お金をかけなくても学力は伸びると主張されています。

先生の3人のお子さんも早期教育とは無縁で、公立の小・中学校に通われたそうですが、それぞれの道を歩まれているとのこと。とはいえ、先生のご経歴からしても、恵まれた「遺伝子のシナリオ」をお持ちだったのではないかと想像します…。

都会では私立小学校への進学もますます盛んだという記事を目にします。

自分自身の経験からも、日本の公立の学校については、色々と思うところはあります。

しかし、一人で通学することを考えた場合の距離の近さや、地元の友達を作ること、(特定地域限定とはいえ)多様性のある環境等、少なくても小学校は、地元の公立に行くメリットも大きのではないかと、確かに思うのです。

我が家の2歳の長女の進路については、まだ確定的な方向性が定まっていないのですが、「お金をかける=必ず良い教育」という思考に陥ることのないよう、常々、気をつけるようにしています。

ただし、「お金のかかる良い教育」も世の中にはあると思っています。「使い時」を間違えないように、ということですね。

「遺伝子のシナリオ」は大人の自分にも励みになる

この本を読んでとても良かったのは、自分の子育てに対して安堵感を得られるだけではなく、大人になってしまった自分も、自分自身の遺伝子を信じて生きようと思えたことです。

先生曰く、遺伝子には遅咲きのものもあり、大人になってから咲くものもあるそうです。

(冒頭略)何歳になっても遺伝子にスイッチがONになることがあります。遺伝子は達成までの「はやさ」を競ったりはしないのです。

「小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て」(高橋孝雄, マガジンハウス)p.121

遺伝子が綴るシナリオには必ず余白、遊び、振れ幅があります。(中略)そのボーナスチャンスは、あせらず自分のペースで見つければいいのです。10代で見つかるひともいれば、ぼくのように50代でやっと「これ」というものに巡りあえることだってあるのです。

「小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て」(高橋孝雄, マガジンハウス)p.124

私自身も、自分が就いた職業の中で、長年、自分の能力を発揮・発展させるよう取り組み、それなりに昇進もさせてもらえたけれど、正直、今の仕事に対してそれほど適性があるように思えないことも多々あります。

夢見る年頃を過ぎていることは重々承知ですが、これからの人生で、まだ頭角を現していなかった遺伝子のスイッチがONになると楽しいなーと、淡い希望を持てたのでした。

まとめ

書店に並ぶ子育て本の多くは、親を焦らせる、お金を使わせる方向のものが多いのではないでしょうか。

この本を読むと、「自分の子どもが持って生まれたものはなんだろう」と、シンプルに子どもを観察することに注力しようと改めて思えます。

不安になったら、「遺伝子がシナリオを持っている」と、どーんと構えるようにしよう。

そんな気持ちにさせてくれる一冊です。


 

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